土壇場で追いつかれたヘルタベルリン 原口は「不完全燃焼」

9月24日ブンデスリーガ第5節が行われた。
前節終了時点、勝ち点9で4位のフランクフルトは、同じく勝ち点9で5位のヘルタベルリンをホームに迎えた。19分ヘルタがPKを決めて先制。その後攻勢に出たフランクフルトが39分、45分とゴールを決めて逆転。しかし、58分、65分にヘルタが途中出場の右アウトサイドのエッスヴァインの活躍で加点し、2−3とリードしたが、終了間際にフランクフルトが同点に追いつく劇的な幕切れとなった。

第1節、第2節と連続マン・オブ・ザ・マッチに輝いたヘルタの原口元気は、前半こそ得意のドリブル突破で見せ場を作ったが、右サイドでの展開が続いた後半はほとんどボールを触る機会もなかった。
「落ち着いてはプレーできていましたし、後半もボールはこないけど仕方ないと思って、自分のやるべきことだけやろうとは思っていました。(パスが)1本あればいいなとは思ってましたけど、まぁなかったんで……」と、90分間プレーした原口は「不完全燃焼だった」と悔しさをにじませた。



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VIVA! ROASSO 熊本地震からの歩み 

第3回 「キャプテンの今季初ゴール。」  文・山雄樹

熊本地震で延期となった5試合は1引き分け4敗、積んだ勝ち点はわずかに1、「積み残した試合はアドバンテージになるかもしれない」という淡い希望は、無残に打ち砕かれ、チームにあまりにも過酷な過密日程を強いた。順位も、熊本地震発生前の5位から16位に落ちた。

8月21日(日)から9月11日(日)までの3週間で、リーグ戦5試合、天皇杯全日本サッカー選手権大会2試合のあわせて7試合、中2日、中3日の試合が、続きに続いた。その後の、9月4日(日)のJ2第31節愛媛FC戦にも敗れ、リーグ戦5連敗。J3降格圏、21位のギラヴァンツ北九州との勝点差は6に縮まった。8月、最高気温が35℃以上の猛暑日が、熊本市では観測史上もっとも多い26日と、記録的な暑さによる疲労も加わり、嫌な閉塞感、停滞感を覚える日々が続くが、「現状打破」の思いを込めて、書きかけていた文章を完成させたい。

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喜びを全身で表現した。強く拳を握った右腕を振り上げ、高く飛び跳ねた。キャプテン岡本賢明に待望の今シーズン初ゴールが生まれた。
「僕は点を取ることがチームに貢献することだと思っているんですけど、それが今年1回もできていなくて、ずっとチームの力になれていなかったのが、悔しかったですし、責任を感じていたので、本当に早く1点取りたいとずっと思っていて、やっと決められたので、喜びが出てしまいました」
岡本賢明は、そう言ってはにかんだ。

8月14日、ロアッソのホーム・うまかな・よかなスタジアムで行われた明治安田生命J2リーグ第29節、ロアッソ熊本対ジェフユナイテッド千葉。4月14日の熊本地震発生から4か月、また、ロアッソがリーグ戦に復帰して3か月となる試合だった。それも、相手は、あのリーグ復帰戦と同じ千葉だ。

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【アルビレックス新潟 田中達也 連載コラム25】ReSTART

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第25回「今日もすべてを出し切り準備する」



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みなさん、こんにちは。

今年、僕は自伝『特別な時間~すべてはサッカーのために』(公式サイトtatsuyatanaka.net)を作りました。
生まれ故郷から、帝京へ進学するために上京してから、浦和レッズでJリーグデビューを果たし、アルビレックス新潟で再スタートを切った自分のキャリアを振り返ることになったのですが、自分が生きていくうえで「忘れてはならないもの」をもう一度強く胸に刻むことができました。
それは、「毎回毎回、いろいろな人たちに支えられて、僕は生きている」ということです。
日々、感謝の気持ちを持って暮らしていきたいと考えているので、本を作る過程のなかで、再確認するようじゃダメなのかもしれないけれど……。

高校時代の僕は、特別な選手じゃなかった。そんな僕がなぜJリーガーになり、夢を叶えられたのか?
今はダメでも、夢を叶える可能性はゼロじゃない。
大切なのは結果ではなくて、その過程だと僕はいつも考えています。
夢や目標に向かってがんばっている人の心に響く本になればいいなという想いもあります。
だから、新潟市、聖籠町の中学校へも寄贈し、図書室に置いてもらえることになったので、たくさんの生徒さんに読んでもらえたら嬉しいです。

「本、読んだよ。とても良かった」とファンの方に言ってもらえるのも本当に嬉しいんだけれど、やっぱり、照れくさい感じもあります。
そうやって応援してくれる人たちへの感謝の気持ちをピッチの上でサッカーをプレーすることで表さなくちゃいけない。また、強く思います。

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[日本代表]あの時から時計が止まっている……

「難しい試合だったけどね。勝てて良かった」
 試合終了後、チームのもとへ向かう田嶋幸三会長とすれ違う。
「おめでとうございます」というこちらの言葉に、シンプルに安堵感の伝わる返事が返ってきた。

9月1日のUAE戦敗退から5日後の9月6日、バンコクで行われたタイとの最終予選2戦目を日本は2−0と勝利。
「新しい選手を試し、競争を促したい」という指揮官は、UAE戦から3人のメンバーを入れ替えた。1トップを岡崎から浅野に、左ウィングは清武から原口。ボランチには大島に代わり山口を起用した。そして原口が先制点、浅野が追加点を決め、采配が功を奏したことになる。

それでも……UAE戦に続き、この日も数多くのシュートを打ったが、ゴールはわずか2点だけ。「もっと多くのゴールを手にできたはずだ」という印象は消えない。守備力に定評のある山口を起用したことで、相手の攻撃を封じ込めることはできたが、それでも70分、GKとの1対1というピンチを招いた。西川のセーブによって助けられた。75分に浅野の追加点が決まるまでは、アドバンテージを握っているという余裕はピッチ上からも感じられはしなかった。

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[日本代表]最終予選初戦敗戦で抱くべきは未来への危機感だ

「最終予選の初戦を落とした国がW杯に出場したことがない」
ロシアW杯アジア最終予選UAE戦を前に、改めて“初戦”の重要性を訴えるような報道が相次いだ。加えて、連覇を逃した昨年のアジアカップで日本を破ったUAEを警戒する記事も多かった。そうした中、試合終了を告げる笛は鳴った。結果は1−2の負け。初戦に限らず、ホームでの敗戦は97年フランス大会予選以来。“まさか”の結果だった。


11分、清武のFKから本田が先制点をマークする。守備を固めた相手から奪ったゴールは“初戦”の難しさを払しょくしてくれるだろうという空気ができた。しかし、19分カウンターからマブフートのドリブルを許し、それを止めた吉田がイエローカード。与えたFKのボールは西川の手を弾き、ゴールネットを揺らす。ほとんど攻撃に出てこなかったUAEの一撃で、日本のアドバンテージは無くなってしまった。

右アウトサイドで起用された清武は持ち味であるパスで攻撃を演出し、1トップの岡崎はポジションを変えながら、パスコースを作る。本田と香川のコンビネーションで中央突破を仕掛ける場面も数多く見られたが、ワン・ツーとパスが繋がっても3本目に狙いを定めたDFによって、簡単にクリアーされてしまう。

動きなおしてパスを待っても、巧くパスが通らず、停滞感もうまれていた。惜しいシュートが何本かあったものの、1−1のまま前半が終了し、迎えた後半。前半には相手エースのオマル・アブドゥルラフマンを警戒してか、なかなか攻撃参加のなかった酒井高徳が高い位置でプレーする機会が増え、中央に偏りがちだった日本の攻撃に“幅”が生まれた。けれど、クロスボールからチャンスは生まれない。初出場の大島が中央に空いたスペースから、豪快なミドルシュートを放ったがGKにはじかれてしまう。

そして、52分、自陣でボールを受けた長谷部がドリブルで持ち上がろうとしたところでボールを奪われてしまう。その流れでアルハンマディがボールキープ。日本も3人の選手が対応するも大島がファールをおかし、PKの判定。逆転ゴールを許してしまった。

それでもまだ時間がある。粘り強く戦い続けて、チャンスをモノにしてきた歴史もある。ハリルホジッチ監督の打つ手を見守る。

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『日本人に教えたい戦術的ピリオダイゼーション入門』第3回

『日本人に教えたい戦術的ピリオダイゼーション入門』(東邦出版)には、「トップクラスの指導者やユースアカデミーによる63の練習メニュー」が掲載されている。最終回となる今回は、そのメニューの一つを紹介しよう。今季からマンチェスター・ユナイテッドで指揮をとるモウリーニョの練習メニューだ。なお、今季のイングランド・プレミアリーグにモウリーニョ、グアルディオラはじめ戦術的ピリオダイゼーションの担い手とされる指導者の多くが集合したのはたいへん興味深い。

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ジョゼ・モウリーニョの3対1×4

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準備と進め方
・10×10メートルの正方形4つを作る。
・プレーヤー4人のチーム(青・赤)2つにフリーマン(白)2人を作る。
・それぞれのチームからプレーヤー1人を1つの正方形に入れる。
・フリーマン2人がポゼッション中のプレーヤーと3人で、3対1を形成する。パス5回のあと、プレーするフィールドを変える。

所要時間
・4分×4セット

バリエーション
・難度の引き上げ:長方形を小さくする
・タッチ数の変更
・数回タッチしたら、グリッドを変える

コーチング・ポイント
・戦術:攻守の切り替え、質の高い判断、数的優位なプレー、素早い認識
・技術:ボールコントロール、グラウンダーのパス、タイミングと強さ
・フィットネス:有酸素および無酸素の持久力、プレーリズムの変更
・留意点:集中力、コミュニケーション、積極的な攻撃性、インテンシティ


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VIVA! ROASSO 熊本地震からの歩み 

第2回 「頑張ろう、熊本。ありがとう、長崎。」  文・山雄樹

熊本地震の後、3度目となったロアッソ熊本のホーム・うまかな・よかなスタジアムでのゲームは、「バトルオブ九州」、V・ファーレン長崎とのダービーマッチ。

リーグ戦後半の成績は、このゲームまで4勝1敗とリーグトップ、元来の粘り強さを取り戻した長崎を率いるのは、かつてロアッソの指揮を執った高木琢也監督だ。長崎の監督に就任して4シーズン目。これは横浜FC、東京ヴェルディ、ロアッソ、長崎という監督歴のなかで最長となったが、それまで、もっとも長く監督を務めたのはロアッソでの3シーズンだった。

熊本と長崎の対戦成績は、ここまで熊本の5勝1分1敗、ここ4連勝中、6試合負けなし、ホームでは負けなしの2勝1分という、熊本にとっては「相性が良い」と言える数字が残っている。かつて指導を受けた熊本の選手たちは「勝利こそが恩返しになる」、「プレーで成長したところを見せたい」と強い意気込みで臨んだ。

ロアッソ在籍7シーズン目の最古参となった片山奨典は、「高木さんは、戦う姿勢を教えてくれた監督です。勝負にこだわることや、サッカーの本質を教えてくれました」と語る。

これまでの対戦での熊本側の得点者が、ルーキーイヤーからプロとしての心構えなどの教育を施された仲間隼斗(現・カマタマーレ讃岐)、齊藤和樹(現・ジュビロ磐田)、ヴァンフォーレ甲府から移籍後、持ち前の技術に加え、球際の強さなど、いわゆる「ハードワーク」を叩き込まれた養父雄仁と、高木監督が特に手塩にかけて育てた選手というのも、決して偶然ではないだろう。試合後、高木監督が、冗談交じりに「あいつ、俺が監督をしていた時には、あんなプレーできなかったのに」と悔しがったこともあった。熊本の分の良さには、こうした背景もあるのだ。

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